天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

宇都宮の蕪村

蕪村句碑(二荒山神社境内にて)

今年の短歌人・夏の歌会は宇都宮市内のホテルで開催された。横浜から湘南新宿ラインで直通なので、久しぶりに参加した。宇都宮市はちょうと宮まつりの最中で、にぎやかであった。ホテルに入る前に、近くの二荒山神社に寄って境内を歩いてみた。ただ、この神社は何度も火災にあい、古い建物や資料は残っていない。
境内の奥の方に、宰鳥(蕪村)句碑をみつけた。
     鶏は羽にはつねをうつの宮柱   宰鳥
とある。
蕪村は寛保2年(1742年)27歳の時、師の早野巴人が没したあと、みちのくの芭蕉の足跡をたどって旅した。絵を宿代の代わりに残した。寛保4年(1744年)に雁宕の娘婿で下野国宇都宮の佐藤露鳩(ろきゅう)宅に居寓した際に編集した『歳旦帳(宇都宮歳旦帳)』で初めて蕪村を号した。
[注]歳旦帳というのは、歳旦(元日)開きに連歌師俳諧師が、自分や門弟の発句を集めて刷ったもので、宗匠として初めて一家を成したことの宣言になる。


     瞑想の座席の前に夏帽子
     赤錆の鉄路いく筋梅雨明くる
     冷房の効くに眠れぬ座席かな
     雨あがる田に密集の稲穂かな
     駅前に団扇をもらふ宮まつり
     あちこちに出番を待てる神輿かな


  宇都宮までを耐へたりグリーン車のエヤコン寒き半袖のシャツ
  二荒山神社の庭に出番待つ毛脛あらはな担ぎ手の群