天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

仏を詠む(5/6)

  太古より国の崎なるふるさとにみ仏よおはしませこの憂き世ゆゑ

                       田山 伸

*「国の崎なるふるさと」とは、紀伊半島および志摩半島の最東端に位置する三重県鳥羽市国崎町を指すのだろうか? 古代より、伊勢神宮に奉納する熨斗鮑(のしあわび)をはじめとする御贄を産出する地であった。伊勢神宮とは因縁が深いが、仏と関係づけようとするのだろうか(み仏にいてほしいと)。

 

  良い社員 良いお父さん 良い夫そのうちいつか良い仏様

                       武村公作

  見てください見てくださいといひにつつほとけのまへにわれをさらすも

                       三井ゆき

  おのがじし傾くままに傾けり仏らは手を石に封じて

                       玉井清弘

*おのがじし: 各自思い思いに。

 

  袈裟がけの風雪の罅さらしつつ石ならず土ならず仏の形

                       玉井清弘

  おほらかに人を容るるか金銅(こんどう)の双掌(もろて)をひらく北魏のほとけ

                       山口 純

北魏様式の仏像は、法隆寺の仏像に見られる(特徴は長い耳、厳しい顔立ち)。

 

  おのづからたたずまひ古りて谷深く平安の代の仏を伝ふ

                      大悟法 進

 

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北魏様式の仏像