身体の部分を詠むー骨(1/4)
骨とは、脊椎動物において骨格を構成する、リン酸カルシウムやコラーゲンなどに富んだ硬い組織のこと。骨には、「人がら」「気質」の意味もあり、また芸道の神髄・要領などを意味することもある。
人の骨を詠んだ作品には、身に染みるものが多い。
ほねよりもかへりて骨ををる物はたたむ扇のをりめなりけり
小沢蘆庵
いつしかとあをじが来鳴く梅の樹の骨あらはれて秋くれむとす
*あをじ(アオジ、青鵐): 体全体が黄色がかったようなホオジロ科の鳥。高い声で「チリリリ」と鳴く。
水のんで、歌に枯れたる、我が骨を、拾ひて叩(たた)く、人の子もがな。
日は海より生れてあかし弟の骨を拾ふと山行く吾は
妻の骨けふ母のほねひと年(とせ)にふたたびひらく暗き墓壙(はかあな)
吉野秀雄
おとろへて蛇のひものの骨をかむさみだれごろのわが貪(どん)着(ぢやく)よ
坪野哲久
*貪着: むさぼり執着すること。