天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー骨(2/4)

  唯一なるねがひにみ骨わかち埋む信濃の村の親のおくつき

                       窪田章一郎

*おくつき: 奥津城と書き、神道のお墓を意味する。仏教では「○○家之墓」と書くが、神道では「○○家奥津城」「○○家奥都城」と書かれる。

 

  頭(かうべ)無きみ骨を持ちてかへり来ぬ君が妻子に何と申さむ

                        山本友一

  罪びとのごとくに坐して妻とふたり秋夜(しゆうや)の骨を守らんとする

                        木俣 修

  折ふしに鳴る肩の骨春寒(しゆんかん)の時雨の夜(よは)をひとりこもれば

                        木俣 修

  わが胎(たい)にはぐくみし日の組織などこの骨片(こつぺん)には残らざるべし

                       五島美代子

*上句は急逝した長女を葬る時の感慨であろう。

 

  屈葬位白骨の胸部崩れ落ち骨片(こつぺん)星屑のごとく散らばる

                        葛原妙子

  白骨はめがねをかけてゐしといふさびしき澤に雪解けしかば

                        葛原妙子

 

f:id:amanokakeru:20210828072046j:plain

白骨