天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

洋楽器を詠むーピアノ(2/2)

  蔽はれしピアノのかたち運ばれてゆけり銀杏のみどり擦りつつ

                    小野茂

  ピアノ弾く爪先点れるごとく見ゆ黒きアメリカ人の左手

                   阿久津 英

  カーテンのすこしふくらむときのまを凍ったピアノにあさの陽はさす

                    加藤治郎

  見えてゐる世界はつねに連弾のひとりを欠いたピアノと思へ

                    荻原裕幸

  鍵盤に指をあつめておりてゆくピアノとふ年月の深井戸を

                   河野美砂子

 

ピアノ