天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

知覚を詠むー痛み(2/2)

  焼土にためらひもなく雪ふれるまひるのこころはつかに痛き

                     大野誠

  青空にふと浮かびたる我身なりきこの醒めぎはのいたましきかな

                    若山喜志子

  勢へる野戦志願の兵見れば寧(むし)ろいたましき心も湧きぬ

                     渡辺直己

  戦ひに疑ひて死にゆきし者いたましくわづか文字を残せり

                     扇畑忠雄

  警棒の痛さ知りゐるわが夫と視てゐるテレビ音なくうごく

                    石川不二子

 

警棒