天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

わが歌集・平成四年「獅子頭」

  苗植える水面に映る雲まぶし今は忘れん出稼ぎの町

  夜更けても騒音絶えなき国道の間近きにあり出稼ぎの宿

  フルートの音色かすかに香りたつコーヒーカップの匙のきらめき

  秋暮れて帰りうながす妹を待たせて兄は道に輪を描く

  肉削げし身となりたるにひたすらに堰を跳ぶ鮭落ちてまた跳ぶ

 

獅子頭