天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ドリームランド

跡地の新しい墓地

 横浜ドリームランドは、1964年にオープンしたが、2002年2月に37年の歴史を閉じた。遊園地自体としては、よく続いた方であろう。ところが、大船駅からの交通機関として、「モノレール大船・ドリームランド線」は、1966年に開業したのに設計上の問題から、翌年に運行休止となった。ローコストの小型モノレールの導入も含めて検討したが、採算がとれないという理由から結局廃止になった。
 ドリームランドの跡地は、再開発されて、墓地、野球場、薬科大学、公園などができつつある。


      新緑に水面の光ゆらめけり
      校庭にチャイム鳴りたりつばくらめ
      神鹿の甘えて鳴くも袋角
      農道を自動車がゆく揚げ雲雀


  襤褸切れをまとひて芥をあさりゐる旧東海道朝の蓑虫
  ショウウィンドウ朝の光にしづもれる茶瓶茶釜に炊飯器など
  晴天の朝の光に青みたる杉の木立にうぐひすの声
  校庭のチャイムの後に鶏も時を告げたりしはがれ声に
  煎餅をもらへばお辞儀するといふ神鹿苑の鹿ぞかなしき
  過ぐる日に子供つれ来しおもかげの跡形も無し大観覧車
  木の蔭に錆びて残れるモノレール車両走るをつひに見ざりき
  おほかたは取り払はれしモノレール橋脚のみが木立に残る
  新しき夢つむぐがに拓かれし墓地、野球場、薬科大学
  営業の日数少なく閉ざしけり多重の塔に見ゆるホテルは
  老人がベンチに憩ひ話しをり健康遊具のならぶ公園
  新しき墓地はできたり平板の墓石ならべて納骨を待つ
  徐々に徐々にネームプレート貼られゆく芝生にならぶ平石の墓
  ゆつたりと墓地をめぐれる薔薇の道ところどころにベンチ
  置かれて


  来る世の居場所さだめむ新しき墓地をめぐれる老人の群