天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水引の花

二宮町吾妻山にて

 タデ科多年草。八月頃から十月にかけて枝先に細長い軸を伸ばし、赤い小花を穂のようにまばらにつける。白花のものを銀水引、紅白のまじったものを御所水引という。



  わが二十(はたち)町娘にてありし日のおもかげつくる
  水引の花              与謝野晶子


  草の葉に風は吹かねどなよなよと紅ゆるる水引のはな
                    土屋文明


  目覚むれば病臥のわれをさしのぞくかぼそき朱の
  みづひきの花            上田三四二
                            
  等閑をむしろ娯しむ中年に金水引の花のかがやき
                    伊藤一彦