なんとも風情がある名前である。花を上から見ると色が赤く、下から見ると白く見えるので、水引の名がついたという。あるいは長い花穂を水引にたとえたという説もある。タデ科の一年草。小さな花が細い長い茎に添ってついているので、写真にうまく納めるのが難しい。
水引草目が合ひて猫立停る 石田波郷
廃屋のなほ人臭し水引草 遠藤七狼
水引の花咲き土岐は窯どころ 井上光枝
草村にかがやくものは入り方の西日にてれる水引の花 土屋文明
この歌はなんでもない情景を詠っているのだが、結句「水引の花」の言葉の美しさがポイント。