天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水引の花

吾妻山にて

 なんとも風情がある名前である。花を上から見ると色が赤く、下から見ると白く見えるので、水引の名がついたという。あるいは長い花穂を水引にたとえたという説もある。タデ科一年草。小さな花が細い長い茎に添ってついているので、写真にうまく納めるのが難しい。


      水引草目が合ひて猫立停る   石田波郷
      廃屋のなほ人臭し水引草    遠藤七狼
      水引の花咲き土岐は窯どころ  井上光枝


  草村にかがやくものは入り方の西日にてれる水引の花  土屋文明


この歌はなんでもない情景を詠っているのだが、結句「水引の花」の言葉の美しさがポイント。