天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蓮の実

鶴ヶ丘八幡宮にて

 鎌倉・鶴ヶ丘八幡宮の源平池では、今盛んに蓮の実が飛んでいる。蓮の花が終ると、蜂の巣状に穴が開いた円錐形の花托が現れ、穴の中の実が熟すとやがて飛び出す。俳句では秋の季語。「蓮の実飛ぶ」は傍題。
     蓮の実にはじかれてたつ蜻蛉かな
                    千代
     蓮の実のしらしらと旅ひとつ了ふ
                    山田みづえ
     鑑真の寺の蓮の実飛びにけり
                    塩谷 孝

   長江のほとりゆ来たる乾草の中より拾ふ蓮子(はすのみ)四つ
                    石川不二子

鎌倉駅からバスで大塔宮へ。そこから永福寺旧蹟、瑞泉寺、西御門、鶴ヶ丘八幡宮小町通り と廻ってきた。彼岸花がちらほらと咲き始めていた。


     キチキチの飛び交ふ寺の遺跡かな
     黒蝶の羽ばたきうれし曼珠沙華
     地に落ちて足を滑らす槿かな
     のぼり来てつくつく法師聞くばかり
     夕されば白粉花が咲く武家屋敷
     蓮の実の飛びたる後の虚ろかな
     蝉鳴くや商店街のにぎはひに