天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ぎんなん

荏柄神社にて

 銀杏は中国原産で雌と雄別々の木がある。このことを実感するには、ぎんなんが落ちる頃に銀杏並木を通ってみるとよい。例えば、靖国神社の参道。ぎんなんをつけている木とそうでない木があり、不思議な気分になる。



      銀杏にちりぢりの空暮れにけり   芝不器男
      銀杏のぽたりと不治の病なる    辻田克己
 
 御霊神社、甘縄神社、荏柄神社、鶴ヶ丘八幡宮 など鎌倉にはいくつもの神社があり、境内にはきまって大銀杏が立っている。秋が深まるとそれらがいっせいにぎんなんを散らす。樹木に生命や霊が宿ることを如実に示すから銀杏は神社に適しているのであろう。わが国では古来、常緑大木の楠が定番であったが、いつ頃から銀杏が幅をきかすようになったか。


      次々にぎんなん落とす大いてふ
      ぎんなんに足の踏み場もなかりけり