天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

すみれ

湘南平にて

 スミレ科スミレ属の植物の総称。スミレ科の多年草で種類は多く、世界では温帯地方に約500種、うち日本には約50種が自生する。エイザンスミレ、スミレサイシン、タカネスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ニオイスミレ、パンジー
 「すみれ」について芭蕉は二句詠んでいるが、蕪村には一句もない。


      山路来て何やらゆかしすみれ草    芭蕉


  春の野にすみれ採みにと来しわれそ野をなつかしみ一夜寝にける
                       万葉集山部赤人
  菫咲く横野の茅花咲きぬればおもひおもひに人通ふなり
                     山家集西行
  飯乞ふとわが来しかども春の野に菫摘みつつ時をへにけり
                        良寛
  かたはらのすみれをほりて植ゑてやりぬまだあたらしき妹のはか
                        太田水穂
  目にとめて何かゆかしといにしへの人のよみける山すみれ咲く
                        岡野直七郎
  とぼとぼと歩いてゆけば石垣の穴のすみれが歓喜をあげる
                        山崎方代
  たえまなく砂崩れをり坪菫とぼしき花をそばだてながら
                        稲葉峯子