天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

菫(すみれ)

江ノ島にて

 スミレ科の多年草。スミレ属には、日本だけで約50種ある。花言葉は「思慮、思い」。 万葉集山部赤人の歌「春の野に菫つみにと来し我そ野をなつかしみ一夜寝にける」や野ざらし紀行芭蕉句「山路きてなにやらゆかし菫草」は、過去のブログで紹介したように有名。


     近けれど菫摘む野やとまりがけ    守武
     かたまつて薄き光の菫かな    渡辺水巴


  むらさきに菫の花はひらくなり人を思へば春はあけぼの
                     宮 柊二
  首里のすみれ那覇のすみれとわが見つつ色の違ひを心にとめる
                     宮本永子
  草わけてあけぼのすみれ見つけたり髪の尖までひかりあふれつ
                     雨宮雅子
  あやまちて石の羅漢のひざに咲く山のすみれも半眼の花
                     小川恵子


  大磯の踏みしめられし山道のかたへに咲けりタチツボスミレ
  山ゆけば木の階段の間に咲くタチツボスミレに力いただく