漢字で菫と書く。スミレ科の多年草。つぼすみれは、白い五弁花に
濃紫の筋が通る。歌には万葉集の時代から詠まれており、次の山部赤人
の歌は、あまりに有名。
春の野にすみれ摘みにと来しわれぞ野をなつかしみ一夜寝にける
万葉集・山部赤人
山吹の咲きたる野辺のつぼすみれこの春の雨に盛りなりけり
万葉集・高田女王
浅茅原ゆくへも知らぬ野べに出でてふるさと人はすみれ摘みけり
金槐集・源 実朝
むらさきに菫の花はひらくなり人を思へば春はあけぼの
宮 柊二
草わけてあけぼのすみれ見つけたり髪の尖(さき)までひかり
あふれつ 雨宮雅子