天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

家鴨

相模川(宮山)にて

 アヒル。ガンカモ科の鳥で、マガモを品種改良した家禽で飛べない。白アヒルが肉用、採卵用として飼われる。色彩には、白、褐色、カーキ色、白黒まだらなどがある。最近日本ではあまり多く見かけない。


  鴨河に浮ぶあひるの朝な朝なたらずなりゆく
  数ぞ悲しき           香川景樹


  あけて見る小窓のそとは冬田なり荒るる湖より
  家鴨歩み来           島木赤彦


  松崎の入江しづけみ青流をつらなり泳ぐ真白き
  家鴨              窪田空穂


  家鴨らは羽よせあひてねむり居り光乏しき稲田
  のすみに            原阿佐緒


  一群れの家鴨ましろく光りつつ尾をふりありく
  何か淋しき           前田夕暮


  春の日のひかりまどろむ小川には家鴨ならびて
  泳ぎてありけり         古泉千樫


  したしみし家鴨のことも時に思ふドロ臭き卵も
  朝々食ひき           中野菊夫


  胴体は笑いの充まんかなしげに首ふり首ふり
  アヒルははしる         加藤克己


  草がくり白くかがやくあひる二羽物語るごとはた
  聴けるごと           玉城 徹