天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ヒヨドリ

藤沢市白旗神社にて

 スズメ目ヒヨドリ科の鳥。全身灰色で耳羽が茶褐色、ムクドリより少し大きめの28cm程度。日本全土に分布、秋になると人里に来て、木の実、昆虫、花の蜜や葉菜類なども食べる。


  群れゐつつ鵯なけりほろほろとせんだんの実の
  こぼれけるかも           古泉千樫
                      
  少しずつ黒ずみそめし果実載る九谷の絵皿鵯の鳴く
                    岡部桂一郎
  欲望のしわがれのこゑ花喰ひのひよどりのこゑ花に
  行きにし              森岡貞香
                      
  朝明けは小さき舌の動きなど見ゆるばかりにひよどりの鳴く
                    安永蕗子


 掲出写真は藤沢市白旗神社境内で撮ったもの。以前にも紹介したが、白旗神社は近くの川に海から溯上した義経の首級を祭った場所である。奥州高館で切られた義経の首は、酒桶に漬けられて鎌倉に送られ、腰越のあたりで梶原景時らの検証を受けた後、海に捨てられたという。


  義経の御霊まつれるお社の欅梢にひよどりの啼く
  立ち並ぶ家のはざまの公園の隅に残れる首洗ひ井戸