天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鰤(ぶり)

江ノ島水族館にて

 アジ科の魚。地方によって、また大きさによって呼び名が異なる。東京では、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ。大坂ではツバス、ハマチ、メジロ、ブリ と成長してゆく。カムチャツカ半島、サハリン、沿海州、日本、朝鮮半島、台湾近海 と分布する。幼魚のモジャコを採集して養殖もされている。養殖ものは通常、ハマチと呼ばれる。俳句では、冬の季語。


       鰤来るや夜を限りなき雪の声   小田 司
       日の柱立つ寒鰤の定置網     神蔵 器


  越の海のぶり割き今宵は肝を食ふ腹のうるめは明日あげて食へ
                       土屋文明
  一ぴきの鰤を背負ひて港より舗道に出でぬ雪乱れふる
                       大野誠
  太き鰤熊野灘より送られぬかかへて赤子より重たし鰤は
                       宮 英子
  鰤来たる能登の七尾の朝の競りわれのみ他者の貌にしぐるる
                       馬場あき子
  群なして海の芯流にもまれつつ体に黄のすぢ鰤は帯ぶとぶ
                       高野公彦