天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湯豆腐

寒い日には湯豆腐を

 土鍋に昆布を敷いて湯を沸かし、四角く切った豆腐を入れて茹で、別の椀に取り出して、葱、七味、柚子などの薬味とぽん酢を加えて食べる。次の俳句の初二句には、江戸情緒が横溢している。


     湯豆腐や障子の外の隅田川      庄司瓦全
     湯豆腐やいのちの果てのうすあかり  久保田万太郎
     湯豆腐や敷きて分厚き利尻昆布    三戸杜秋


  雨暗き夜を柚子買ひて豆腐煮るぬくとき湯気の前に坐りつ
                       富小路禎子
  君をみず久しくなりぬ寒き夜の湯豆腐のねぎ刻みつつ思ふ
                       馬場あき子
  簡素なる冬至の卓に湯豆腐は音に遅れて湯にをどりをり
                       草田照子