天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

四十雀

藤沢市新林公園にて

 シジュウカラ科の鳥で留鳥。頭と喉が黒く、頬の白色がめだつ。ツピーツピージュクジュクと啼く。


  四十雀なにさはいそぐここにある松が枝にはしばしだに居よ
                         長塚 節
  低くして手の届きなむ下枝に啼きてあそべる四十雀の鳥
                         若山牧水
  四十雀の馬鹿がまた雌をつれて来ぬ鉄骨の穴に巣をかけむとよ
                         石川不二子
  朝鳥の来鳴く欅の窓を近み四十雀の小さき舌見ゆるなり
                         佐佐木幸綱


 早春の里山には四十雀の晴れやかな声が聞こえた。


    春風に蒲の穂絮の飛びにけり
    冬枯の庭に紅梅雲なせる
    
  樹々の間を貫きてはばたく山鳩の白き腰見ゆ朝の木洩れ日
  空を指しま直ならむとスダジイは山のなだりに闇まとひ立つ
  春来ぬと妻を求むる声ならむ冬枯れの木に啼く四十雀
  冬枯の木立の末に鳥の巣の古きが懸かる春近き森
  春浅き森のベンチに寄りきたる羽根青白き山鳩の群