天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

白木蓮

藤沢市・遊行寺にて

 中国原産、モクレンモクレン属の落葉高木。中国では玉蘭、白蘭ともいわれ、品格のある高貴な花とされている。木蓮は、通常、紫木蓮を指すが、しばしば白木蓮と混同される。白蓮(はくれん)とも言う。春の季語。


  白木蓮咲きさやぎをり吹く風にうたれゐる今を歓ぶごとく
                       杜沢光一郎
  ひらきたる白木蓮のそりかえる花弁のへりの妙なるひかり
                       玉井清弘
  いっせいに帽子投げ打つごとく咲く白木蓮の春慌(あわ)たし
                       永田和宏

木蓮については、藤沢の遊行寺に知る人ぞ知る名木がある。それで吾妻山の帰りに寄ってみた。見事に満開になっていた。危うく時期を見逃すところであった。


  はくれんの花咲きみちて池にちる筧の水の音のしづけさ
  観世音菩薩の立たす池の面にちりて錆びたり白木蓮
  水の上の観世音菩薩見たまへり放生池にはくれんの散る
  池の辺に魚鱗甲貝供養塔はくもくれんの花咲きみてり
  白蓮の花ちる池の底ひには濁れる色のうごめくが見ゆ
  はくれんの影を揺らしてあぎとへる池の底ひの色鯉あはれ