天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

横浜刑務所

横浜刑務所外壁

 テレビドラマを見ていて、この刑務所があることを知った。それで見に出かけた。どこからが敷地なのか、あいまいであったため、危く敷地内で写真を撮るところであった。
昭和11年5月に竣工したものらしいが、今でも外見はスマートで新しい。ここには死刑執行の設備はない。死刑囚は東京拘置所に於いて収監・執行される。収容分類級は、B(犯罪傾向の進んでいる者)とF(日本人と異なる処遇を必要とする外国人)、収容定員は1200名。流れ作業による組立式の家具(ノックダウン家具)を制作できる設備を有しており、そこで作られる家具は、なかなかの評判らしい。実際、展示室に入ってみたが、みな立派な作りであった。値段もかなりのもの。


    朝食の窓辺あからむ杜鵑
    郭公の声にしづまる青山河
    刑務所の塀に間近くさくらん

    
  渋滞を解消せむと始めたる牛のあゆみのハーモニカ工法
  どくだみや小判草など寄りつける白のまぶしき刑務所の塀
  敷地内は撮影禁止たしかめて外より写す刑務所の塀
  住み心地良しと見えたる刑務所の塀新しく白くまぶしき
  刑務所に縁はなけれど受刑者の作業になりし家具を見に行く
  受刑者の作業になりし品々のあなどりがたしつくづくと見る
  経験の無きを不幸と思はずやただ見てすぐる横浜刑務所
  見かけにはよらぬ収容人員の過剰なることネットにて知る
  建物も塀も配置は相似たり東京、横浜刑務所はあり
  刑務所の敷地通りてふと思ふ国会議員の事務所費のこと
  事務所費にマンガ買ふ金含まれて根拠は気分転換といふ


[参考]斎藤充功『刑務所を往く』ちくま文庫