天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

無患子の花

藤沢市新林公園にて

 無患子と書いて「ムクロジ」と読む。ムクロジ科の落葉高木。梅雨の時期に小枝の先に大形の円錐花序を出して、淡緑色の小花を多数つける。十月に熟する球形の実の中の黒い種子は追羽根の球に用いる。藤沢新林公園の古民家の裏庭に、大きな無患子の木があり、今盛んに花を散らしている。地面が黄色くなっている。


    影の添ふ里山道やほととぎす
    山百合の受精を待てる色香かな
    受精せし百合の色香の失せにけり
    うぐひすや咽喉つまらせて雌を呼ぶ
    またの名を沙羅の木といふ夏椿


  雨あがり朝のきたれば椋鳥は白つめ草の原に出歩く
  無患子の小花ちらせる蜂群の羽音すさまじブブゼラを吹く
  列なしてくる子供らにたぢろがず田の畔あゆむ大きあを鷺