天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春賦―里山―

横浜市舞岡公園にて

 早春の里山では、いろいろな冬鳥を見ることができる。藤沢の新林公園では、コゲラを間近に見た。横浜舞岡公園では、鶫、山鴫、翡翠、尉鶲(じょうびたき)などに出会えた。最近、BSテレビでは、日本各地の里山の四季を紹介しているので、更に多くの生物を知ることができる。
 二月には横浜でも雪が降った。里山の積雪の情景は、ことのほか懐かしい。

     川底に緋の寒鯉のみじろがず
     翡翠を撮らむと待つや谷戸の春
     翡翠を待つ間愛づるも梅の花
     翡翠の色きはだつる冬木かな
     冬枯の色にまぎるる田鴫かな


  鳥たちの糞尿白く乾きたる里山道に息を整ふ
  コゲラ来てコナラの幹をかけあがる風の冷たき春の里山
  顔なじみできてカメラを並べたり谷戸の沼辺に翡翠を待つ
  いつせいにシャッターを切る音のして翡翠まさに池を飛び立つ
  道の辺の小枝にとまりカメラ見る写るに馴れし雌じょうびたき
  里山のくぬぎ伐られて椎茸のほだ木となれり日の斑の森に
  椎茸を五年育てしほだ木なれ朽ち果てしのちカブトムシ生む
  かぶとむしの幼虫を食むうりぼうは朽ちしほだ木を鼻に崩すも
  雌もきて喧嘩はじまる里山の樹液酒場のかぶと虫はや
  春雪のはや解けそめし里山の朝に出会ふ二羽の山鳩
  爆音を空に地上にとどろかせとび去りしもの雪晴れの朝
  何鳥か雪のたんぼに動く見ゆわがデジカメのとらへがたしも
  藁屋根に湯気たちのぼる昨夜の雪つみて晴れたる里山の朝
  藪かげの枝にとまれる尉鶲カメラとりだす間なくとび去る