天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

きのこ2

藤沢市新林公園にて

 きのこは菌類。かびなどと同じく、通俗的な用法で、分類学的に厳密な定義はできないらしい。全世界には、数千種類あり、地中、地上、腐木や特定植物に寄生あるいは共生する。冬虫夏草のように昆虫につくものもある。古名は「くさびら」。合成語では、松茸、椎茸のように「たけ」とも言う。


  紅茸の雨にぬれゆくあはれさを人に知らえず見つつ来にけり
                      斎藤茂吉
  みだらなるまつりのごとき毒茸の千の犇きつゆのまに消ゆ
                      福田栄一
  いかほどの時間がたちて地中よりにじみ出でたり紅の茸は
                      大西民子
  十六夜の月わたりゐむひそまりに耳ひらくなり春の茸(くさびら)
                      春日真木子
  食べられぬきのこは樹下に累々とおもねるごとく色香を放つ
                      藤原増寿美