天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

合歓の花

横浜市東俣野町にて

 合歓(ねむ)はマメ科の落葉高木。本州から沖縄、東南アジアに広く分布する。夜になると葉が閉じて眠るように見えることから命名されたらしい。一度自分の目で確かめてみたいのだが。材は家具などに使われる。合歓は「こうか」と音読みすることもある。

  吾妹子を聞き都賀野辺のしなひ合歓木(ねむ)吾は隠(しの)び得ず
  間無くし思へば            万葉集・作者未詳
                       
  我妹子が形見のかふか花にのみ咲きてけだしも実にならぬかも
                    古今和歌六帖・作者未詳
  親しきはうすくれなゐの合歓の花むらがり匂ふ旅のやどりに
                       斎藤茂吉
  たもとほる夕川のべの合歓の花その葉は今はねむれるらしも
                       古泉千樫
  ねむの花
  うすくれないのやさしきを
  手にとるときも砲はとどろく        渡辺順三


  合歓の花しだるる下に言葉絶えひぐらしは暗く声あはせたり
                       前登志夫
  合歓の花そよろそよろのくれなゐにをりふし灌ぐ月光の水
                       武下奈々子


  丈高くなりて咲きたる合歓のはな川風ふけばはかなげに揺る