天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

水仙

北鎌倉・東慶寺にて

 ヒガンバナ科スイセン属の多年草スイセン属には、房咲水仙、ラッパスイセン、ニホンズイセン、口紅水仙、糸水仙、笛吹水仙、八重咲水仙 など色や形の異なる品種が多くある。原産地は、スペインやポルトガルを中心とする地中海沿岸地域で、アフリカ北部まで広がり、原種は30種もあるという。ニホンズイセンは、平安末期に中国を経由して渡来したらしい。開花時期は、12月中旬から翌4月中旬まで。雪中花とも。名所としては、伊豆半島の爪木崎、福井県越前海岸、房総半島、淡路島の黒岩水仙郷など。


  その翌朝(よくあさ)おしろいやけの素顔吹く水仙の芽の
  青きそよかぜ              北原白秋
                      
  幼な子がいとほしむゆゑ水仙の黄の花にわが心やさしむ
                      福田栄一
  少年ら受験に痩する教場に水仙の花白く目に立つ
                      馬場あき子
  あらたまる年なりしかば傷宸ネがら水仙の尖(さき)は白きほひつつ
                      大滝貞一
  水仙のうつむき加減やさしくてふるさとふいに思う一月
                      俵 万智
  野の花の日水仙年暮るる今日の机上にわれをはげます
                      窪田章一郎
  北に南に天変地異を恐れたる年の終りの水仙の花
                      宮原望子