天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

BBCのテレビ映像より

 古くは勇魚(いさな)と言った。クジラ目に属する水生哺乳類の総称。イルカとの間に分類学的な違いはなく、単に体長の違いである。即ち、5m以上の大型のものをクジラという。大まかに分類すると、
 ヒゲクジラ類: シロナガスクジラナガスクジライワシクジラ
         ザトウクジラ、ミンククジラ、セミクジラ、
         コクジラ 等
 ハクジラ類:  マッコウクジラ、アカボウクジラ、ツチクジラ、
         オオギハクジラ、シャチ、オキゴンドウ
         その他イルカ類 等
水面に浮かび上がってきて呼吸する間隔は、普通5〜15分だが、2000m以上の深海までもぐるマッコウクジラなどでは、1時間くらいになるという。
 日本の捕鯨は、8000年前の縄文前期にまで遡る。捕鯨が盛んであった地域は、紀州、土佐、房州など。万葉集には、「いさなとり」の読みで14首(うち短歌一首)に出て来る。俳句では、冬の季語。


     白浜や紀の国人とみる鯨     久米三汀
     鯨来る土佐の海なり凪ぎわたり  今井千鶴子


  雲かかるわたのみ中にあらしほを雨とふらせて鯨うかべり
                     加納諸平
  大海は広くしありけりむれ鯨潮高吹きゆたに遊べる
                     石榑千亦
  白衣着て駆けあがり来し屋上に空飛ぶ鯨をわれは思ひき
                     喜多昭夫
  わたのはらしづかにありてきこえこしこゑはくぢらの子を
  よべるこゑ              森岡貞香


  四十トンあまりの鯨つぎつぎに跳びたる海はしばらくゆらぐ
                     秋葉四郎
  前世は鯨 春の日子と並び青空につぎつぎ吹くしゃぼん玉
                     佐佐木幸綱
  さらば象さらば抹香鯨たち酔いて歌えど日は高きかも
                     佐佐木幸綱
  ほろびつつ水半球をゆく鯨しづかなる火を曳きて泳げり
                     高野公彦
  解体の途中に引き出す子クジラはまだ生きていて身を
  躍らせぬ               大島史洋