鷺
コウノトリ目サギ科の鳥の総称。世界に約60種。日本には18種が棲息する。雪客(せつかく)ともいう。巣を木の枝の上に作るものとヨシ原に作るものとがある。種類によっては、集団繁殖する。アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、ゴイサギ、ササゴイ、ヨシゴイなど。
池神の力士舞かも白鷺の桙啄(ほこく)ひ持ちて飛びわたるらむ
万葉集・長忌寸意吉麿
田の面より山もとさして行く鷺の近しとみれば遙かにぞとぶ
玉葉集・伏見院
鷺のゐるあたりの草はうら枯れて野沢の水も秋ぞさびしき
風雅集・藤原為基
いづみ川あさせもしるく立つ鷺のみのげみだるる風のさむけさ
夫木和歌抄・衣笠内大臣
夕立の雲間の日影見え初めてやまのこなたをわたる白鷺
夫木和歌抄・藤原定家
青空を斜め下りくる白鷺の光かなしもこの森の上に
古泉千樫
氷りたる泥地(ひぢち)にたてる鷺いち羽(は)まなこつむれど
見てゐるらしも 福田栄一
大橋のたもとの灯よりやや近く五位鷺鳴きぬ夜の十二時
田中悌六
飛び去りし白さぎの跡ひとすぢの体温あらむ秋深きそら
高野公彦
のどかなる春の岸辺にフィルムの日付のごとく鷺は動かず
倉益 敬