天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春寒

北鎌倉円覚寺にて

 三寒四温といえど今年はいつまでも寒さがぶりかえした。でも、さすがに梅の花の時期は過ぎて桜の開花宣言を待つばかりとなった。江ノ島円覚寺あたりを歩いて、桜の梢を見上げている。


     藪陰の鋭き笹鳴や鳶の空
     春潮の渚を駈くる子犬かな
     沈丁のかをりがとどく力石
     春の海カヌーの櫂の水しぶき
     春潮やサーフボードに腹這へる
     中津宮水琴窟は春のこゑ
     茶を喫す白木蓮の開基廟
     足軽き新調の靴万愚節
     われひとり開花宣言円覚寺
     河川敷花待つどちのバーベキュー


  砂浜に紐を解かれて春潮の寄せくる波に子犬吼えたり
  間隔をおきて東へうつるらし幟は青き沖の釣船
  春の海 サーフボードに腹這ひて両手を櫂に沖へ漕ぎゆく
  今朝とれし白子もありと客をひく海鮮料理の江之島亭は
  あまやかすほどに野良猫増へたれば江ノ島におくネコ募金箱
  をちこちに道路工事の年度末EGG回せるミキサー車見ゆ
  色にては区別がつかぬうす紅のミツバツツジとゲンカイツツジ