天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨の長谷

鎌倉長谷成就院にて

 今年の夏は、東電の原発事故のおかげで節電をよぎなくされているが、今の時期、例年より暑く感じる。15%程度の節電ではダメなのではなかろうか。鎌倉では、紫陽花が咲き始めた。「NHKひるブラ」では、鎌倉の長谷寺の紫陽花を中継するということで、朝から大勢のTVクルーが境内に待機していた。わずかな時間の放映にしては、NHKはコストの掛り過ぎのような気がしてならない。それでなくともチャネル数が多く、番組の数が民放に比べて多すぎる。強制的に受信料を取っているのだから、もっと縮小して料金を安くすべきであろう。番組制作に金がかかり過ぎることは、NHKの経営審議会において、自民党片山さつき議員も指摘していた。が、経営委員たちに、積極的な反応は見られなかった。


     腰越の路面電車や初つばめ
     釣舟の二艘がけぶる梅雨の海
     鋭き声に谷戸鳴き渡る時鳥
     在るか無き風にも揺れて吉祥草
     紫陽花にメランコリーの名のありにけり
     紫陽花の寺に客待つ人力車
     緑陰にひとこゑ叫ぶ孔雀かな
     あぢさゐや団子頬張る谷戸の寺
     あんぱんに紫陽花の季(とき)ありにけり


  朝光の凪たる海にただひとりサーフボードに立ちて櫂漕ぐ
  山門の屋根葺き替へし極楽寺うぐひす近く啼きにけるかも
  「NHKひるブラ」に撮る長谷寺の咲きはじめたる紫陽花の道
  入口に紫陽花の咲く土牢は鬱閉ぢ込めてしづもりゐたり
  波待ちてサーフボードに腹這へるウェットスーツをうらやむなゆめ