天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春のイソヒヨドリ

江ノ島海岸にて

 江ノ島をぶらぶら歩いてきた。かながわ女性センター側の海岸では、釣人が数人釣りをしていたが、イソヒヨドリがやってきて、足元の餌をついばんだ。用心深い鳥のはずが、こうも人に近づくかと驚いた。この鳥は、ヒヨドリに似てはいるがスズメ目ツグミ科に分類され、ヒヨドリとは無関係である。
 この日は珍しく暖かく、歩いているだけで汗をかいた。中津宮の水琴窟、奥津宮の龍恋の鐘などを回った。暑いので稚児が淵までは、下りて行かなかった。


     春潮の水面ふくれて鴎二羽
     そよ風に水面ふくらむ春の潮
     よび水や水琴窟に春のこゑ
     太陽光パネル花の影させり
     ふたりして龍恋の鐘春のこゑ
     花にほふ奥津宮(おくつのみや)の力石
     なか吊りに桜だよりや小田急


  沖に出てたらふく魚を食うべけむ漁港へ帰る朝の鵜の鳥
  釣人の足元近くに寄りきたり捨て餌つひばむイソヒヨドリ
  柄杓もて水を垂らせば地の底の水琴窟に春のこゑする
  江ノ島の弥生なかばに花ちりておかめ桜のみどり濃くなる
  外国の男女ふたりが何事か言ひ交はしつつ見る力石
  龍恋の鐘のおくなる東屋はとり壊されて跡かたもなし
  江ノ島の奥津宮(おくつのみや)にひとり聞く春の愁ひの
  龍恋の鐘