天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ハクモクレン

北鎌倉円覚寺にて

 通常、モクレンといえば紫木蓮を指す。ハクモクレンは、この紫木蓮の近縁種で共に中国が原産地。古く日本に渡来した。


     声あげむばかりに揺れて白木蓮  西嶋あさ子
     はくれんの花の占めたる夜空あり 千代田葛彦


  雷はしる刹那刹那を神の手の白きはのびるはくれんのうへ
                     雨宮雅子
  白木蓮のはなを啄む鳥一羽 光りの花に身を埋もれて
                     安田章夫
  苦しみの殻とくごとくかがやきをまとひて咲けり今朝の
  白木蓮(はくれん)           成瀬 有


  たましひの寄り集まりて人の世のいまを見てゐる白木蓮
  (はくれん)の花            伊勢方信


  舞い疲れまたゆらゆらと舞いいずる白木蓮の千の白鳥
                     武川忠一
  ゆふぐれの空を飛び立つ夢を秘め白木蓮の花咲き揃ふ
                     大和類子
  咲き足らぬ花も散りだす花もない白木蓮の満開の花
                     多 久麻