天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鎌倉・報国寺にて

 竹の子。古くは、たかむな、たかんな、たこうな と称した。竹には多くの種類があるが、真竹、淡竹以外はすべて中国からの伝来種という。


     竹の子の力を誰にたとふべき     凡兆
     たかんなを掘つて来しかば尼汚る  飴山 實


  たけのこの皮剥ぐ音のひとしきりくりやにありてながき
  たそがれ                木俣 修


  筍(たかんな)を食ひたる身内にほひだち眩暈(めまひ)に
  似つつこの夜を居り          上田三四二


  竹の子の皮を剥がれて沈むとき水のにごりは抱くごとしも
                      大島史洋
  ゐのししの臭ひかこれはごわごわの太い毛深いたけのこを剝く
                     小島ゆかり