天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薔薇

鎌倉文学館にて

 バラ科バラ属の植物の総称。野生種は約200種ある。北半球の各地に分布する。日本には、ノイバラ、テリハノイバラ、タカネバラ、サンショウバラ、ハマナスなど十数種が野生しているという。栽培種は最も高度の雑種であり最も代表的な観賞の花木である。バラの栽培は古代オリエントで始まり、ギリシャ、ローマを経てヨーロッパに伝わった。株バラとつるバラの二系統がある。


     薔薇よりも濡れつつ薔薇を剪りにけり  原田青児
     薔薇園の薔薇整然と雑然と       須佐薫子


  青春はなおそれぞれに痛ましくいま抱きおこす一束の薔薇
                        松坂 弘
  四百円にて吾のものとなりたるを知らん顔して咲くバラの花
                        俵 万智
  薔薇の名のトスカニーニよわれかつて美しき脚にひれ伏したりき
                       山田富士郎
  はじめから切り札なんて 卓上に崩るる薔薇を置きて去にけり
                       池田はるみ
  ひと世かけてわれは何せむ三代を経て出づるとふ黒薔薇のいろ
                        大西民子
  緋の薔薇のつぼみ黒ずみ咲かぬ意志秘むるとおもふまでに固しも
                        沢口芙美
  香の高き薔薇の名ケアレス・ラブといふ 二つくらゐは誰にも
  あらむ                  米川千嘉子