天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

食卓に

 オランダイチゴともいうバラ科多年草。食用にするのは花托が肥厚した部分。石の保温性を利用した石垣促成栽培が知られていたが、ビニールハウスが普及してからは減少した。銘柄では、「栃おとめ」が有名。野生種から食用種まで苺の種類は多い。


     花の芯すでに苺のかたちなす  飴山 實
     胎の子の名前あれこれ苺食ぶ  西宮 舞
     ねむる手に苺の匂ふ子供かな  森賀まり


  今は末に近しとぞいふ苺をば匙もてつぶす真白き皿に
                    窪田空穂
  バングラへ行く若者を励ますと冬の苺に振る粉砂糖
                    芝谷幸子
  鮮やかに冬のいちごを浮ばせて陶の小皿のみどりは冷ゆる
                    武川忠一
  カタコトでイチゴと言いて指差して2歳はいくつ食べる
  のだろう              奥村晃作


  言い出せぬ言葉のありて牛乳に沈める苺をなべてつぶせり
                    湯浅和男
  苺ケーキまろやかに舌に溶かしつつ饒舌の裏を探りあひたり
                    渡辺茂子