梅雨雑詠(1)
紫陽花の季節である。神奈川県にも紫陽花の名所がいくつもある。鎌倉では、明月院、長谷寺、成就院など。南足柄では、開成町あじさいの里、大雄山参道など。
暁の極楽寺の空ほととぎす
あぢさゐの参道のぼる成就院
咲き出づる時は白無垢額の花
土牢のくらがり覗く額の花
錆そめし定家葛の白き花
潮風の星ノ井通り梅雨に入る
桜貝さがす砂浜残り潮
紫陽花の参道下りて求肥買ふ海辺に近き星ノ井通り
土牢に孔雀のこゑの届きけり弟子を気遣ふ日蓮の文
声高に領有権を主張せり大和島根の影おぼろなる
イチローを応援するは虚しいよ キリン、ユンケル、
ENEOS、DoCoMo
バックネットの席に座りて応援すマリナーズ・ファンの
老婆がふたり
樹の上に抱かれ孵るいのちあり佐渡の空ゆくニッポニア
ニッポン
人類の来し方思ふ幼な児の足ゆびの爪切る夕暮に
わが身には醸造酒より蒸留酒日本酒よりもウィスキーが合ふ
原子炉の場所あらはなるわが国の領空守るミサイルいづこ