天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早春の鎌倉長谷

鎌倉長谷寺にて

 今年は松の内過ぎてから鎌倉の寺社に出向くことにした。先ずは長谷を訪ねた。極楽寺成就院、御霊神社、長谷寺、光則寺、収玄寺など定番ルートである。いずこも境内は掃除が行きとどいていて清々しかった。また客足の少ないことが幸いした。暖冬のせいもあって蝋梅はもちろん白梅や紅梅が咲きはじめ、白木蓮のつぼみが膨らんでいた。


     腰越を江ノ電にゆく春日かな
     江ノ電や七里ケ浜に風光る
     早春の塵ひとつなき極楽寺
     風光る稲村ケ崎コッホの碑
     息切れの極楽寺坂笹子鳴く
     掃き清められし境内水仙花
     蝋梅やふれ愛観音つややかに
     竹林の春日に笑まふ地蔵尊
     太陽のめぐみゆたかに福寿草
     いつきても黒木瓜の花長谷寺
     春日影日朗上人土の牢
     一山に土牢ふたつ谷戸の春
     鎌倉や春日をこばむ牢格子
     蝋梅や雄の雉子二羽しづかなる


  江ノ電の窓辺に見れば春の日のゆたにたゆたふ腰越通り
  袂石十六貫に手玉石二十八貫ならべて祀る
  竹林の春日に笑まふ三体の小さきを中に良縁地蔵
  風光る鎌倉の海をまぶしめば水平線にかすむ大島