天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

稲穂

藤沢市新林公園にて

 稲には生態型によってジャポニカ米とインディカ米の二種類がある。日本で栽培されているのは、もちろん前者。どちらにも粳米(うるちまい)と糯(もちまい)米がある。成熟の速さにより、早稲(わせ)、中稲(なかて)、晩稲(おくて)と区別される。


     利根川や稲から出て稲に入     一茶
     稲の香にむせぶ仏の野に立てり  水原秋桜子
     稔り田の湖国にあれば齢濃し   鍵和田釉子


  花屑は稲の涙かと思うまでしばらくは稲の穂より溢れぬ
                    石井利明
  雨はれて山田の稲を刈るみれば十一株刈りて一束にする
                    結城哀草果
  稲の穂よりも高く抽きいでし稗の穂が夕昏るるときの
  かなしみさそふ            轟 太市