天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋の蝶

江ノ島にて

 晩秋になると蝶の数もめっきり減ってきて、姿も弱々しくなる。ただ、江ノ島の草叢で見た蜆蝶は、小さいながら数も多く、日ざしの中を元気よく飛びまわっていた。


     ますぐには飛びゆきがたし秋の蝶  阿波野青畝
     火口湖のさざなみ固し秋の蝶    岡田貞峰
     秋蝶の驚きやすきつばさかな    原 石鼎
     西の塔より東へと秋の蝶      鷹羽狩行


  数知れぬ灰色蜆蝶(しじみ)従へて庭の白萩老いはてにけり
                     石川不二子
  眼前(まなさき)にまぎれ来て飛ぶしじみ蝶白き喜悦の
  ふちどりありき             安永蕗子