天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蓮の花

藤沢市新林公園にて

 熱帯アジア原産のスイレン科の多年生水性植物。種子は泥炭層にあれば、千年以上も発芽力を失わない。実が飛び葉が枯れる秋の末には、地下茎の先端には、食用になる蓮根が出来る。
大きな葉が枯れて茎が折れた敗残の様を「敗荷(やれはす)」という。仏教では、阿弥陀如来の住む極楽浄土に咲く花とされる。はちすとも言う。


     城攻めの騒ぎよ蓮の葉も花も   鷹羽狩行
     蓮咲いて大みささぎに音もなし  石倉啓補


  草の庵の露消えぬとや人は見る蓮の花に宿りぬる身を
                 玉葉集・藤原資隆
  鑑真の寺に渡来の八葉のはちす咲き出でて今日は雨なり
                    前川佐美雄
  あくまでも蓮の紅愛づる国彼岸に寄せず愛憐に寄す
                    土屋文明
  み仏は坐りいまさねふくよかに開花遂げたる蓮を尊ぶ
                    蒔田さくら子
  花びらは尖りを持ちて二十四枚古代はちすの花はかろやか
                    大塚布見子