天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

眼鏡

わが身辺から

 近視には凹レンズ、遠視や老視には凸レンズ、乱視には円柱レンズなどを用いる。歴史上では、アラビアの数学者であり、物理学者、天文学者でもあったアルハーゼン(956年頃〜1038年)が、レンズを使うと視力が助けられる可能性があることを最初に発見したという。


  妻と子と三人来りて山に寝る夜の机の三つの眼鏡
                    五味保義
  思ひ見ればわれの命もこの一つの眼鏡を無事に保てる
  ごとし               柴生田稔


  眼鏡こはし帰り来りぬ板敷のやうやく冷ゆる吾が部屋の秋
                    小暮政次
  眼鏡して木のよく見ゆるよろこびありかすかなる旅の
  はての暁              田井安曇


  ペン皿に輪ゴムのれるが目にとまりずれし眼鏡を定めてぞ見つ
                    片山貞美
  わが眼鏡木蔦の蔓の垂るる間にもしやかかれる雪のふれるに
                    片山貞美
  一生に掛ける眼鏡は平均十四とぞ もうひとつ追加をしよう
                    高瀬一誌