天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

地蔵

藤沢常立寺の境内にて

 菩薩の一つで、釈迦入滅後、弥勒が出現するまでの間、現世にとどまって衆生を救う。冥府の救済者でもある。日本では平安時代から信仰が盛んになった。通常、右手に錫杖、左手に宝珠を持つ。毎月24日に地蔵講をする地方が多い。なお六地蔵は、六道において衆生の苦患(くげん)を救うという六種の地蔵のこと。


  虫送りの火に焦げてゆく地蔵の貌しきりに遠き稲妻を呼ぶ
                    小野興二郎
  贖罪に黙す女の長き列水子地蔵は濡れやまぬなり
                     帆足チホ
  草の上に子は清くして遊ぶゆゑ地蔵和讃をわれは思へり
                     岡野弘彦
  片膝を立ててつらづゑつき給ふ石のみほとけ歯痛地蔵は
                   山埜井喜美枝
  松は枯れ峠路広くなりており地蔵の像は老ゆることなし
                     菅原朝子