天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

極楽寺駅

江ノ電・極楽寺駅

 「緑と静寂のなか古風な雰囲気で風情とやすらぎを感じさせる駅」ということで、平成11年(1999)に関東の駅百選に選らばれた。江ノ電稲村ケ崎駅と長谷駅の間にある。
駅前の坂を登って左手の極楽寺入る。境内の石垣のところどころに石蕗の花が、曇り空とは対照的な明るい黄色に輝いていた。ここからいつものように、成就院長谷寺、光則寺、鎌倉文学館、御成通りと歩いて鎌倉駅に出た。今年も鎌倉文学館の庭の丈高い皇帝ダリアに会えた。


      ひとり下りる極楽寺駅しぐれけり
      藁葺の山門おもき時雨かな
      しぐるるや皇帝ダリヤ昂然と
      店先に伊豆の鬼ゆず由比ケ浜
      しぐるるや刑場跡の六地蔵
      くずもちの店に管菊白きかな
      
  葉をすべて散らせる古き百日紅根方に黄菊白菊咲けり
  黄葉の白雲木を見上ぐれば心しづけし傘の雨音
  表情は目深き笠にかくれたり宗祖弘法大師の御像
  錫杖を右手に鉢を左手にしぐれの中の弘法大師
  店先の枯葉のみなる一鉢に「朝顔市」の札かかりたり
  海坂と空と見分かぬ混沌の霧にかすめる鎌倉の海