天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

地底

NHK-BS放映画像から(地底湖)

 フランスの作家・ジュール・ヴェルヌ1864年に発表した『地底旅行』は、現在の小中学生にも読まれているだろうか? リーデンブロック教授が、ある日骨董店で購入した本の中に暗号文のメモがあり、甥のアクセルとともに解読する。「アイスランドのスネッフェルス山の頂にある火口の中を降りていけば、地球の中心にたどり着くことができる」というメッセージであった。彼らは、地底の旅にでかける。そこには広大な海があり、地上では絶滅したはずの古生物たちが闊歩していた。
 映画を見た人も多いはず。


  この夕べ寒きまでにし人恋うをマグマよ移れその地底より
                     波汐國芳
  地底湖にしたたる滴かすかにて一瞬の音一劫の音
                     佐藤佐太郎
  生るるまでを籠れる蝉と朽ちし吾の頭蓋が或日地底に会はん
                     富小路禎子
  天に高く地底に深く人群れていつか球型とならむ東京
                     浅野まり子