現代短歌の遺産
「短歌研究」六月号の特集から。雑誌「短歌研究」の創刊七十五周年を機に、この二十五年の内に逝去した現代歌人から継承すべきものを明らかにしようとする企画である。執筆を依頼された歌人たちの中には、一瞬とまどった人もいるのではないか?
学ぶことは山ほどあるが、継承するものなど無い。と言いたくなるのではないか?歌の作り方や文体を継承するわけにはいかないからだ。それでは亜流になるだけ。では、どうする? 評者たちの結論には、あいまいなものが多いように感じる。
対象歌人 評者 継承すべきもの
土屋文明 岡井 隆 破調の意味
前川佐美雄 三枝昂之 系譜に収まらない独行性?
柴生田稔 大河原惇行 徹底して個の思いを詠う?
生方たつゑ 石本隆一 用語の刷新・象徴性の追及
木俣 修 外塚 喬 木俣 修の教え?
葛原妙子 藤田 武 感覚重視と虚構性?
窪田章一郎 来嶋靖生 民衆詩としての定型短歌?
佐藤佐太郎 田中子之吉 表現の技巧のよる個性の発揮
斎藤 史 佐伯裕子 「反自然」の気概?
宮 柊二 高野公彦 宮 柊二の考え方=結社
高安国世 永田和宏 若い世代への信頼
近藤芳美 篠 弘 思想詠
前田 透 井辻朱美 若さの香り?
塚本邦雄 穂村 弘 選歌眼
上田三四二 玉井清弘 「存命のよろこびを歌う」
大西民子 北沢郁子 叙情歌の伝統を守る
山中智恵子 前川佐重郎 言葉の探索と古典傾斜
富小路禎子 石川恭子 生の香り?
島田修二 吉田和人 「抒情の自立」の場=結社
春日井建 大塚寅彦 「伝統の律」を信じる
石川一成 大野道夫 「自分の歌を詠め」