天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅花の時期を過ぎて

東慶寺にて

 円覚寺では、梅の花の時期を過ぎると染井吉野の桜が咲く前に、開基廟の白木蓮が咲き始める。今年も楽しみに出かけたが、まだ一、二輪咲いているだけで、全体としては蕾が膨らんでいる状態だった。境内の杉の梢には、杉の実がはちきれんばかり。テレビで報じていたが、動物園の猿にせよ野猿にせよ、花粉症にかかって目を掻きむしり、目を腫らしてかわいそうな状況という。


     舎利殿に読経ひびかふ梅の花
     風強き北鎌倉に辛夷咲く
     猿(ましら)さへ目をかきむしる杉花粉
     春暁や火事だと叫ぶ夢の中


  梅の花ちりたる庭に咲きみてりオカメ桜とミツバツツジ
  円覚寺やよひ三月開基廟白木蓮のつぼみほころぶ
  見てをれば白木蓮をさしおきて一足早く辛夷花咲く
  三月の山にふぶける杉花粉ましらの群は目を掻きむしる


(注)円覚寺の白木蓮は、現時点では満開状態。