天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

イチローを詠む(5)

マリナーズ時代

 打撃不振の時、イチローはストライクを見逃しとんでもないボール球を打ちにゆき、結果三振になる。それなのに、日本のテレビでいくつもの会社のCMに出ているイチローを見ると、腹立たしくなる。こんなことやってる場合か! と叫びたくなるのである。観客にとっては、他人ごとなのだから、どうでもよいはずなのに。


  マリナーズ三番打者のイチローはチャンスに凡打
  歯痒かりけり


  近頃の打撃不振の要因をさまざまに言ふ夜の居酒屋
  目標を見失ひたるイチローの打率低迷最下位球団
  イチローを応援するは虚しいよ キリン、ユンケル、
  ENEOSDoCoMo


  バックネットの席に座りて応援すマリナーズ・ファンの
  老婆がふたり


  イチローを慕ひてゆきし川崎の道化あはれむメジロ
  ヒヨドリ


  腰引けてバット届かず外角の低きボールにアウトとなりぬ
  ダルビッシュ最後の一人に選ばれしオールスターに和名は
  あらず