天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

凩を詠む(4)

小学館

 凩は晩秋から初冬にかけて吹く北西寄りの強風だが、冬の季節風としては、北風がある。凩よりも激しい。俳句では、凩とは別の季語になっている。


  音にのみ夜の木枯を聴きゐたり少年の聡き耳は還らぬ
                     鈴木英夫
  木枯しのある夜別れき また逢ひき 年経て君の妻となりにき
                     小野光恵
  木枯しの騎馬軍勢の乗り越ゆる都市あり街は一夜煌たり
                     西村 尚
  音ながく引く木枯をひきつれて行こうか村のあるところまで
                    岡部桂一郎
  こがらしは流星まじへ芭蕉葉の影くらきうへどつと越えたり
                     小中英之
  こがらしの奏楽堂にさそはれてスカルラッティのうたを
  ききゐる               小池 光