地獄
仏教で説く六道のひとつで、罪を犯した者が死後に責め苦を受ける世界。平安時代に描かれた地獄草紙は、生前に犯した罪業によって堕ちるさまざまな地獄の有様を描いた絵巻で、『正法念処経』の経文を解りやすい和文になおして詞書とし,それに対応する絵を添えている。罪人が種々の責苦に苛まれる苦悩と戦慄の模様を,赤と黒を主体とした色調で効果的に表現している。国宝として、東京国立博物館本、奈良国立博物館本がある。
ほのほのみ虚空にみてる阿鼻地獄行へもなしといふもはかなし
金槐集・源 実朝
矢のごとく地獄におつる躓きの石とも知らず拾ひ見しかな
山川登美子
晴天にもつるるとほきラガー見む翳(かざ)せしゆびの輭(あひ)
の地獄に 塚本邦雄
黙深く夕目(ゆふめ)にみえて空蝉の薄き地獄にわが帰るべし
山中智恵子
磨かんと歯並み映せるあけぼのを地獄に落ちず往生もせず
佐伯裕子
やいちくんと巡るぢごくのたのしさはこの世のたのしさに
似てゐます 辰巳泰子
食後の話題は「堕地獄回避の方法論」りんごの皮をながながと
剥きつつ 大久保春乃